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整理しても分かりづらいというこの事態
 作品数が増えてごちゃごちゃになっていた「選り分け表」を整理してみました。
 新旧・長短で単純に並べていたのを執筆年別・原稿用紙枚数別に分割したり、ジャンル別にリンクの背景色を変えたり。なんだか半分ぐらいは自分のための掃除のような気もします。あぁまた外部cssを新規に作ってしまった……。
 しかし改めて見ると初期の作品の無残な葬られっぷりよ。

 整理や改稿だけでなく作品の執筆もせねば!ということで、サークルの「プロットを立ててから小説を書いてみよう!」という創作企画で素材にすることにした、『花霞春東京実無花奇談』のシリーズ続編を進めようと決めました。
 プロットのシーン数を見るとそこそこの長さになりそうな雰囲気です。6、70は行くかな。
 しっかりしたプロットを立てるといかに小説が「仕組み」と「作者の狙い」で構成されているかがわかりますね。ちょっと恥ずかしい。
 私は普段はきちっとしたプロットは立てず、ちょっとしたタイムテーブルだけ用意して、あとは書いている途中に思いついた場面や台詞をエディタの末尾にメモしていくような書き方をしているので、執筆中のファイルはとってもカオスな状態になっています。本文はまだ「起」の部分なのにいきなりクライマックスの過演出な台詞が書いてあったりする。こ、これだけは命に代えても見せられねえぜ……

 しかしこの作品、前回のをヘンテコな題名にしてしまったため、またヘンテコな題名を考えなければなりません。ちなみに前回のは「はながすみはるのみやこやまぶききだん」と読みます……どうしたものやら。
 予告だけもアレなのでちょっと冒頭部を載せてみました。興味がありましたら追記へどうぞー。
 相変わらず妙な調子の文体です。
-----「月華(仮)」-----------------------

 冬の終わりを虫の目覚めとするならば、春の終わりはさてどんな言葉で象ろうか。にわかの雲に雨蛙の声、はたまた緑の散り桜か。
 それこそ桜の舞い落つが如くたちまちのうちに起きそして終わった春の珍事――少なくともいつもの道をいつものようにきびきびとした動作で歩く一人の男にとっては大珍事であった出来事――のあと、男、太田道宏は、自らに起こった変化を半ば端から眺めるようにぼうとして受け止めていた。
 花香る日にあったあの事件は思い出と呼ぶにはまだ新しく記憶の内にあり、それが故にも鮮やかな像を心に残してはいるのだけれども、そうと決めればまさしくいくらでも疑りをかけられよう類の話。もともと頭の固い質、導く答えは否と言うよりないような、そんな体ではある。それでも跳ねつけることを肯ぜないのは、理念よりも信念よりもただ目に映るそれの方が、より強くより単純に実を持ってひょいといとも容易く男の前に現れるからに他ならないのだ。

「行ってらっしゃい、道宏さん」
 スーツ姿で家を出る夫を玄関で妻が見送る、ここ数年道宏が常のものとしていたありふれた朝の情景に、この春から新たに二つ加わったものがある。
「ああ。実、行ってくるぞー」
 ひとつは妻の腕に抱かれた幼い赤子。つい一週間ばかり前に産まれた道宏の実の息子。待ちに待った初めての我が子であるからして、そう言って息子の小さな手を握ってやる男の顔がとてもよそには出せないような崩れぶりであったとしても、まぁ咎められたものではあるまい。そんなことにいちいち気をかからせていてはもう一方のひとつの変化など、天地も揺るがす大騒動に等しくなってしまうというもの。
 上がる声。それは初めに聞いたときと変わらず高揚気味の、大袈裟な内容も相まって幾度も「こいつ口を開かなきゃなぁ」と道宏に思わせるが本人は至って真面目なので何も言えないそんな言葉である。
「道宏様、留守居はお任せ下さいませ! この山吹が全霊をかけて奥方様と実様をお守りしますゆえどうぞ安心してお出かけを!」
 幼子を抱く道宏の愛妻・綾乃の斜め後ろに立つ人姿。鮮やかな黄の小袖に同じく黄の打掛けをふわりと羽織り、小さな拳を胸に当てて高校球児も顔負けの潔い宣誓。淡く漂う甘い香りの主は、その名も山吹、庭に揺れる八重山吹の木霊である。
 出会いは息子・実が生まれる二週ほど前のこと。夜の公園に咲く濃黄色の花にふと言葉を漏らした瞬間、「道宏様」と背後に落ちた呼び声が珍事の始まり。道宏を己が主人と追いすがる山吹、知らんわからんと逃げる道宏、てんやわんやの内にただならぬ事態が起こり、間一髪ののちに迎えた大団円、気付けば互いに命の恩人となっていた二人だ。
 とは言えあまりにも常識に外れた出来事に最後まで頭が順応しきっていなかったのは確かであって、今もあれは幻であったのではないかと朝が来るごとに思い、その度こうしたやり取りの中に己を取り巻く現実を確認する日々である。
「こんなんでいいのか俺は……」
 考えが谷にはまれば鈍くなる足の運びの上に溜め息も落ちる。波に流されるままに平然と生活を送っているが、実のところ戸惑いを抱けるほどの理解がついてきていないだけという話。困ったものと思いつつ、しかし顔を上げれば変化はこちらの諾否も取らず唐突に我が身を訪れる。
 白樺の横を過ぎる一瞬、風に鳴る葉の音に紛れ「おはようございます」と人の声。桜並木を行けば年経た大桜の陰に燕尾服姿の初老の男、高筒帽を外して一礼を寄越し、赤信号の向こう花屋の店先プランターの隣、艶やかな中国衣装をつけた二の腕ほどの背丈の少女が膝を抱えて座っている。周りを歩く人間には一切聞こえも見えもせぬ、とすればそれはみな草木の精、木霊に他ならない。山吹を家に迎えるきっかけとなったあの事件の日からこっち、道宏の世界に加わった不可思議な景色。幻と片付けるには鮮やかに過ぎる。
 顔を起こして正面を向くと、おそらく隣の鉢に植わった百合の精であろう、中国衣装の木霊が小さな肩を震わせているのにふと気付く。青に変わった信号を渡り花屋の前、見れば百合の鉢に壁に立てかけた板材の影が濃く落ちている。
 足の進むまま行き過ぎかけ、次の店の前でぴたりと止まり、同じ道を歩いていたスーツ姿の同胞たちの怪訝な顔の横、きびすを返して数歩戻る。
「……えー、あのう」
 呼吸ひとつためらってから、店先で働く店員に声をかけた。
「はい?」
「あー、えーっと、そこの植木鉢なんですけど……なんか、板の陰になっちゃっててちょっと寒そうに見え……と言うか、あの、日に当たってたほうがいいんじゃないのかな、なんて思いまして」
 なんとも滑りの悪い言葉を渡して恐る恐るに窺うと、
「あ……すみません。そうですね、片付けるのを忘れてしまっていました」
 返ってきたのは肯定の言葉で、ほうと内心息が漏れる。板材はすぐ店の奥に運ばれていき、朝の日差しが百合の鉢の上に落ちた。木霊の少女は光の中で一度大きく伸びをすると、素早く道宏の方に向き直って、ぺこり、大きく頭を下げた。
 軽く頷き道に戻りつつ、思い出すのは山吹の言。「木霊遣い」。前世の自分を知るという愚直な八重山吹の木霊は、いわくその前世の主人であるところの江戸時代の武士・太田道灌をそう称した。言葉の意味はまるで飲み込んでいないけれども、この状況とそれとが関わっているらしいということは薄々に感じられる。あの事件の翌日から常人は見ていないものが見えるようになった、実のところ直面の瞬間にその場に卒倒しかけた、この状況。
 落ち着け落ち着けと己に言い聞かせなんとか過ごした一週間、なんとなくに判ったのは、己が木霊たちに好かれている、少なくとも、害をなされることは無いらしい、ということ。
 惑う心は確かといえ、その姿に悪意ではなく好意を見れば、そして先のように感謝を示されれば――まぁ悪い気はしない、のではあるが。

-----以下続く。-----------------------

 こんな感じ。このシリーズはテーマが明るいので書いていて楽しいです。頑張ろう。


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